溶けろよ、心
「どこか行きたいところ見つかった?」
店を出たところで、町田くんに聞かれる。
私はケータイで魅力的な店がないか調べていた。
なんか東京っぽい、オシャレなお店ないかなあ。
「あ、このお店いいな」
「どれ?」
町田くんが私のケータイをのぞき込む。
距離が詰められて、町田くんの香りがふわっと鼻腔をくすぐった。柔軟剤かな。
「これこれ」
私がケータイの画面を拡大して示す。
「東京駅にあるんだ。じゃあ、行ってみるか!」
私たちは、最寄り駅まで歩き出した。