溶けろよ、心


「真由」

晴斗の表情が改まる。何か大事な話をしようとしてるのが伝わってくる。

「俺もう、真由とは会えないかも」

どかんと、鈍器で殴られたような感じ。
頭がぼんやりしてくる。

分かってるよ。週刊誌とかに撮られちゃったら大変なんだよね。1つのスキャンダルが一気に今までの地位を奪ってしまうかもしれない。

今まで晴斗が私の家に来てくれてたのだって相当リスクは高かったはずだ。

あーあ。こんな気持ちになるなら、もっとちゃんと覚悟決めとくべきだった。

「…そう」

「うん」

嫌だな、こんなの。こんなあっさりお別れ?



「……あ、町田くん、いい人だね!」

言いたいことは、そんなことじゃないんだよ。


「あー。おう。話したの?」

なんとなく、晴斗の顔が暗くなった気がした。気のせいかもしれないけど。

「うん。昨日初めてね。仲良いんだね」

「ははは!仲良いかもね。確かに。うん。仲良いんだ」

晴斗は自分の前髪をくしゃくしゃした。

何かに耐えてるような、ちょっと苦しそうな表情で。

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