溶けろよ、心
「あの、町田くん、これ……」

お弁当を食べ終わった頃、持ってきていた本を差し出した。

「この前言ってたやつか!ありがとう!」

町田くんは快く受け取ってくれた。少し、迷惑がられちゃうかなって心配してたけど、無駄だったみたい。

「面白いから、すぐ読めちゃうと思う」

「へ〜楽しみ!」

町田くんは楽しそうに笑った。

「映画、見られなくてごめん」

私は謝った。きっと町田くんと一緒に見られたら楽しかっただろうな。

「だからいいって別に。夏祭り楽しめばいいんだし」

そう言ってくれて、持っていた罪悪感が少し晴れた気がした。
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