不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「このままでは、ここも化石のようになるでしょうね」

「ここも?」

 驚いてジリアンを見上げる。

「城の反対側にある林は、いつの間にか枯れ果てた。緑の葉をつけたままで。最後はすべての葉が落ちて土も眠りに入った。しばらくはそのままになる」

 まゆこは言葉を失う。立ち上がってすぐそばのブナの幹に手を当てた。

 視線は空へ、そしていくつか建っている塔の向こうを見やった。遠くに聳える山々の稜線を眺める。

 ――遠い……でも、あそこから気を分けてもらうことはできないのかしら。繋がっているもの。

 水は山から来る。空気も大地も繋がって一つ。樹木の根は、大地の深くで魔法の元となる気を受け取っているはず。元は一つなのだから――。

 ふわりと意識が浮遊する。

「マユコ?」

 木が死ぬと、そこにいる小さな虫たちも死ぬ。鳥たちも、獣も、すべてが生きる場所を失ってしまう。

 ウィズでは、魔法の力が人の生活を支えているというのに、それがなくなってしまったら、どれほど行き詰ってしまうことか。

「マユコ、どうしたんだ。おいっ」

「ジリアン様っ。マユコ様が――」
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