誰からも愛されない

✛✛愛せない父


母のいない私。

母は、私を産んだ時に
私の命と引き換えに
命を落としたと。

「あなたのせいなのよ。」
と、小さい時に母の親戚の人に言われた。

元々体の弱かった母
出産は無理だとなんども
言われたのに
「この子を産みたいの。」
と、頑として聞かなかったと。

私をお腹の中で大切に大切に
育ててくれて産んでくれた。

だが、母をとても愛していた父(涼)は、
妻を亡くした苦しみから
私を愛する事が出来なかった。


私は、父の母(祖母)に
保護されて育てられた。

祖母は、なんども、なんども
父に話し説得したが
父は、それを受け入れられず
私を抱くことも
愛情を注ぐこともなかった。

私が小学校に上がると
私の唯一の味方だった
祖母が他界した。

父は、仕方なく家に私を置いたが
相変わらず私に目を向ける事はなかった。

新の母(皐・さつき)さんが
私と新を育ててくれた。

私は、
小学校、中学校、高校、大学と
新と同じ学校に行った。

皐さんは、内科のお医者様で
如月クリニックという
病院を経営している。
< 3 / 107 >

この作品をシェア

pagetop