誰からも愛されない

✛✛いわれなき言葉


パーティーへ行く日が決まると
忍さんに毎日
変な男についていかないようにとか
笑わないで、とか
訳のわからない事を言われて過ごした。

日曜日 当日
お母様と九時に美容室に入り
髪のセットやお化粧をして
ドレスに着替えた。

お母様が選んでくれたドレスは
マーメイドラインがきれいな
薄い紫のドレスで
背中が少し見え隠れしていた。

ドレスにあわせたヒールをはき
ショールをかけて頂き
出来上がる。

「わぁ、きれいよ。彩心ちゃん。
忍がみたら、倒れちゃうかも。
早速写真を撮って送りましょう。」
と、お母様は楽しそうだった。

直ぐに、忍さんからお母様に連絡が入り
連れて行くのを止めて
と、言われて口喧嘩をしていた。
「じゃね、忍。
では、彩心ちゃん行きましょう。」
と、言われて
慌てて後を追って行く

会場に入ると
華やかなホールだった。

お母様に連れられて
あちらこちらの方にご挨拶をして
その度に
「そちらのお嬢様は、
秋山様のお子様でしょうか?」
「娘にもうすぐなる方なのよ。
宜しくお願いしますね。」
と、おっしゃっていた。

一通り、ご挨拶をして
化粧室に一人で向かう。

手を洗っていると、
女性が二人入ってきて
「あなた確か、秋山様と?」
「はい、秋山様の奥様とご一緒
させて頂いています。」
「どうやって取り入ったのかしら?
パートナーも伴わずに。
凪さんかしら?まさか楓さん?
まぁ、忍様はないわね。
直ぐに化けの皮剥がれるから
早めに退いた方がよろしくてよ。
ほほほっ」
と、二人に笑われながら
私は、化粧室をでた。

「はぁ・・・」
と、思いながら
お母様の元に戻った。

「彩心ちゃん、帰りましょうか?」
「はい、もう宜しいのですか?」
「問題ないわ、全て終わりましたから。」
と、言われて
二人で会場を後にした。

後々、彩心の事が社交界にも広がり
秋山の身内の者だと思われて
縁談の話も沢山届いたようだ。

彩心の美しさが
広まってしまった。
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