朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

side咲桜



「咲桜」


「ん? どうしたの?」


「―――………」


「流夜くん?」
 

華取の家のリビングで、夕飯の準備に取り掛かった私に呼びかけて、でも何か言いたげに視線をさまよわせている流夜くん。
 

恋人を一度終えて、婚約も解消してから、私が流夜くんのところへ訪れることはなくなった。


私の薬指は変わらないけど。


行きたい気持ちはある。あそこなら確実に二人きりになれる。でも。
 

まだ、考えている途中だ。


中途半端な関係は嫌だ。お互い納得した形で――傍にいられる道を、選びたい。


少なくとも私はそう思っていた。
 

流夜くんと美流子さんが実の姉弟ではなかった。


それは、流夜くん自身も生家のある町に訪れて、戸籍で確認をとってきた。


美流子さんは養子とされていた。
 

一つ、問題は解消されたかもしれない。


でも、もっと大きな……問題は、転がったままだ。
 

宮寺先生が調べたという、DNA鑑定の、結果の一つ。

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