朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「神宮先生、こんなところにいらっしゃったんですか」
 

げー。嬉しそうな顔をする同僚とは違い、俺は心の中でうめいた。


「……朝間先生」
 

保健室の天使こと朝間先生だった。俺にとってはただの天敵。


「あら? 何かお話されてたんですか?」


「あ、はい。朝間先生。みんなでちょっと飲み会をって」


「あら、そうなんですか……どうしましょうか。一年生の松生さんから進路相談受けたんですけど、神宮先生にも聞いてほしいということでお約束してたんですけど……」


「あっ、そうなんですか! 神宮先生、そうならそうと言ってくださいよ。無理に引き止めちゃってすみませんでした」
 

初耳です。


「松生さん、保健室で待ってますよ。急いでくださいね」
 

朝間先生が促してくれたから、見送る雰囲気になっていた同僚たちに会釈して続いた。


それを見て旭葵も「笑満のことだったら、一応俺も行ってみます」と断って後を追ってきた。


旭葵が二堂中学校出身の生徒と親しいのは周知のようで、「次は参加してよー」という言葉で送られた。

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