愛のない、上級医との結婚

それからは、カテは冠動脈のどこの枝が詰まった症例だったんですか、とか、複数の狭窄じゃなくて良かった、だとか本当に医者同士のたわいもない会話をしながらカレーを食べた。


せっかく夫婦になったというのに、話してる内容といえば結局医学のことのみだ。


お互いのことを聞こうとしないのは、きっと興味が無いからだろう、と。
ほんの少しだけ高野先生のプライベートにも興味がある私としては少しだけさみしいものもあるけれど、これはこれで会話が弾むのだから医師同士というのは楽なものである。


「もう夜も遅いし、先に帰ってるか?
ICだけだから1時間もあったら終わると思うから待っててもいいがどうする?」


食べ終わって、ゴミをまとめていると、高野が声をかけてくる。


「まあここまで待ちましたし、1時間もかからないでしょうから待ってますよ」


そう言うと、分かったと言って一足先に高野はラウンジを出ていった。


それから約1時間後、再度合流した私たちはまた高野の車へ向かった。


そして車で走ること3分。
歩いたら10分程度の場所にあるマンションの7階に高野の部屋……もとい、私たち夫婦の新居がある。


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