秘書課恋愛白書

「知ってるよ。キミ凄いんだってね」

「とんでもないです」

「だから興味が湧いたんだ」



クスリと笑ってこちらへと振り返った社長。

太陽が一瞬雲に隠れて逆光の中から露われた社長の素顔。

まるでその場の時が止まったような気がした。

まったく予想もしてなかった人物に驚愕する。



「う、そよ……」


そこに居たのは、金曜日の夜いきつけのあのBARで出会ったブロンドの髪の毛に青い瞳の彼だった。



「なんの冗談…」

「うん、思ったより良い反応してくれて結構」


後ずさりする私に詰め寄ってくるその人。


あの時の彼が、社長?

そんな漫画みたいな偶然あり得るのか。

しかもこんなとんでもないのが私の上司に?


ぐるぐると頭をフル回転させても不可解なことは理解できない。

呆然と突っ立っている私に社長はどんどん近づいてきてその距離約30cm。

掴まれた腕、引き寄せられて思考が追いつかないまま彼の腕の中へダイブ。

気づけば背中をがっしりと固定されていた。

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