秘書課恋愛白書

「マスターと灰田さんと楽しくBARでお話して…そこからの記憶が全くございません」

「へぇ……」


そう、と呟いてニヤリと口元に弧を描く。



「ちなみにソレ、着替えさせたの僕だよ」

「!!?」


ソレ、と言って私の体を指差す社長。


嘘、社長に体見られたの?!

一応下はパンツを履いてる感覚はあるが上はもろナイトウェアのみ。

見られたことに対する羞恥心で顔面に熱が集中する。

仕事相手、しかも上司、そんな相手に全部見られてしまったなんて。

絶望感に襲われて言葉も出ない。

そして追い討ちをかけるようにとんでもない爆弾発言を暴露する。


「覚えてないんだ。あんなに激しく僕に抱いてと泣いてせがんだことも」

「はっ?!!」



酔っ払った勢いで何を言ってるの!

社長に抱いて欲しいなんて言ったの?!


恐れていた通りワンナイトを初体験してしまったのか。

本気で終わった、と全身の血の気が引いていくのを感じた。


「ぶはっ…」



目頭がじんわりと熱くなって起こってしまった事実に打ちひしがれていると社長が思いっきり噴き出した。

しかも笑いを堪えるのに必死なご様子。
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