BLUE GIRL

感動して言葉が出ないという経験を初めてした。


ブローチを掌にのせてじっくりと観察する。


「気に入らないなら、捨てて」


静かな声に首を振る。


「すごく嬉しい…」


「そう」


「ごめん、嬉しくて、まともな感想を言えない」


「なんだそれ」



たくさん笑い、たくさん泣いた。


海と過ごした日々以上に感情が動かされることはないと疑わずに過ごしてきたけれど、

出逢いの日から、今日までーー

心は簡単に動かされてきた。


水城優矢に関わること全てに、感情が揺すぶられている。


「ユウ……」


ブローチを持っていない手で、ユウの手を握る。



「海のいる世界で、あなたに出逢いたかった」



骨ばった男らしい手を、強く握る。


ユウがどこかに行ってしまわないように、強く強くーー

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