BLUE GIRL

涙のうた


監督とユウと3人だけの稽古が始まる。


集中しなければと思うけれど、ユウへのなんとも言えない気持ちがむくむくと湧き上がってくる。


私がユウと付き合わなければならない理由を、"そのうち教えるわ"とかわされた。


私はなにかトラブルに巻き込まれているのだろうか…?



「羅依ちゃん、リラックスをして!君は理子を演じているのではなく、理子になりきらないと」


「すみません!」


監督は素人の私が感情を作りやすいよう、撮影の順番を小説のストーリー通りに進めると決定した。


午後からは冒頭のシーン、海がリョウに告白する場面から始まる。


やっと2人が両想いになった日のことを、今でも覚えている。



そうだ。
私は海のため、
映画【BLUE GIRL】を成功させるために理子役を引き受けたのだ。


ユウのことなど、どうでもいい。


誰と付き合うことになっても、誰かに迷惑をかけなければそれで良いのかな。

あの日、私は恋を捨てたのだから。

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