BLUE GIRL

「行こう」


アンコール前にユウは席を立った。


「……はい」


手を引かれてライブハウスを後にする。



「さっきは、ごめん」


「今日は謝るんですか?」



わざと明るく言い返す。


マネージャーの言っていたユウの"約束"と、あの歌は重なるものがあるのかな。


「今夜は来てよかったです。私もすごく感動しました」


「…ああ」


「ユウさんがスキャンダルを認めた理由、マネージャーさんから聞きました。仕方ないですね、椎名雪乃さんからあなたを守るために一肌脱ぎますよ」


「ふっ」


ユウが笑った。

ホッとする。



「頼もしいな」


「まぁ芸能人が彼氏なんて、悪くないですよ。期間限定ですけどね」


「そりゃぁ良かった」



爽やかな風が吹く夜道、


いつも感じていた孤独や、虚無感を


いつの間にか忘れていた。


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