同居人は恋愛対象外。


「可愛かったね〜。もうこれで思い残すこともなくなったわ。」


外に出て椅子に腰掛ける。

とても笑顔な母さんなのに久しぶりに口にする死を思わせるセリフ。


「俺はまだまだ母さんとやりたい事あるんだけど。
でもなんで水族館?」

「お父さんが出て行った日、廉が言ったのよ?
水族館行きたいって…。
大好きな息子のお願い叶えられないまま10年以上経ってたからずっと心残りで。

やっと叶えることができた。
ごめんね?長い間待たせちゃって。
辛い思いもいっぱいさせちゃってごめんね。」


そうか思い出した。あの日俺が家族を失くした日。

母さんはあの日言った事覚えててくれてたんだ。


「ありがとう。……お母さん。」


やばい、泣けてきた。


「泣きたいなら泣いていいのよ。」


目の前に座っていた母さんは笑顔で少し涙を浮かべ頭を優しく撫でる。


「俺、なんか温かいもの買ってくるよ。」


このままここに居たら思い切り泣いてしまいそうで、そんなの恥ずかしくて慌てて自販機に向かう。


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