あなたと私と嘘と愛
距離が近づく

それから坂井さんが捕まったのは3日後のことだった。
行方をくらましていた彼が見つかった時、髪はボサボサ服はよれよれ、ずっとお風呂にも入っていなかったのか、酷く生臭いにおいがした。


「なにあれ、まじでヤバイ奴じゃん」


目線も虚ろだった。
まるで浮浪者。真由の感想にそこにいた誰もが納得した。

バイトの帰り、再び待ち伏せをしていた坂井さんに襲われそうになったのがきっかけだ。

だけどそこには優斗もいて、私に被害はなかったのだけど、「全部お前のせいだ」と逆恨みした坂井さんにナイフを突き付けられた優斗が私を庇い、腕に若干の怪我をした。

だけど優斗は強かった。
怪我をしたことなんてお構いなしに気狂った坂井さんに立ち向かい、彼の攻撃を交わして回し蹴りを与えた。

そこへ見張りの警察も来て呆気なく捕まった坂井さんだったけど、


「仕事も地位も金も全てなくした!全部お前らのせいだ!おい亜香里、お前に貢いだ金を全部俺に返せよ!」


暴言を吐き散らした彼はもう私の知ってる坂井さんではなかった。
全くの別人になっており、あの紳士的だった雰囲気は跡形もなくなくなっていた。

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