あなたと私と嘘と愛
似た者同士の涙

家に帰った私は自分の部屋に閉じ籠り、力尽きたようにベッドになだれ込んだ。

真っ暗な部屋でさっきの出来事を思い返しながら自分の感情を整理しようとした。けどできなかった。

優斗と母の関係。
母の余命宣告。

あまりにも大きな事実にどうしても気持ちがついていかない。整理なんかできっこない。
自分だけ蚊帳の外だった事実に心が打ちのめされながら、その夜まともに寝れないまま朝を迎えた。

結局その日心配するLINEは何度か入っていたけれど、優斗は帰って来なかった。けどそのほうが今は有り難い。
まだ気持ちの整理なんかついてない状況で優斗と顔なんて合わせられない。

その後気持ちを少しでもスッキリさせたくてシャワーを浴びると、暫くしてインターホンが鳴った。

出ると何故か満面の笑みの真由の姿がモニターに映ってる。
「おはよう!来ちゃった。開けてくんない?」
なんて言われたら拒むことなんてできない。
顔を見た瞬間あからさまにホッとした自分に気付きながら、真由を出迎えると「はい、差し入れー」とパン屋の袋を渡された。

< 368 / 471 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop