銀光のbreath 【番外編 追加完了】
2-3
 由弦は元から、用があれば勝手に家に来るみたいな行動派だ。ラインなんかしないし、電話は用件言って切れるカンジ?

 まあ何も変わってないっちゃ変わってないんだけど。強いて言うなら。・・・・・・あたしを見る眼が変わった。・・・かな。
 『メシでも食うか』って、まあそれもいつも通りだし、人に向かってアホだのバカだのの形容詞も相変わらずだし。なのに。
 ・・・なんかすごく。優しい眼になったってゆーか。包み込むみたいな・・・愛おしむみたいな、そういうの丸っきり隠さなくなっていうか!
 正直ね、もう勘弁してって言いたくなる。恥ずかしいし心臓に悪いし、こっちの身が持たないよ・・・・・・。




 11月も後半に入って、だいぶ冬めいてきた。噂じゃ、来週あたり初雪になるとかならないとか。平地のこの辺りじゃ滅多にない。

 会社は朝8時半出社で、夕方5時半退社。家から車で20分ほどの近場だから、どこも寄らなきゃ6時には帰宅できる。それだけはラクだ。
 今日はショート丈のダッフルコートにジーンズ、ブーツって、普段もパンツスタイルが多いけど。会社は制服だから普通にスカートだったりする。
 
 事務所から出た瞬間。北風に掬われて乱されたマッシュショートの髪を片手で抑えながら、敷地内の駐車スペースに停めてある自分の軽自動車に向かい、歩ってく。

 車に乗り込み、髪の乱れをささっと直してエンジンのスイッチに指を伸ばそうとした時。バッグの中でエレクトリックな着信音が鳴り出す。取り出したスマホの画面には『由弦』の表示が。

「もしもーし」

『仕事、終わったか?』

「いま帰るトコ」

『なら7時半に迎えに行く』

「了解」

『・・・後でな』

「うん」

 あっさり切れる。だいたいがいつもこんな感じ。 
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