君のために、死んであげる
「いっただっきまーす!」
「ん」

テーブルに並べられたのは綺麗な刺身に醤油、
ちょっとした素麺だった

シューは、こぽぽっとグラスにワインを注ぐ

「これ、飲めるか?」
「いやいや、私未成年だから」

犯罪です、と私は答える

「未成年?」
「うん、私がいた国では、20歳以上の人しかお酒飲んだらダメなんだ。私、今19歳なの」
「この国では17歳以上なら酒は飲んでいいのだが…」
「へぇ、シューは、今何歳?」
「お前と同じだ」
「そなんだ」

シューは、クイッとワインを口に流し入れる
苦くないのかな?

「しかし、これを俺一人で全て飲むのか」

シューは、グラスに入ったワインをまじまじと見た

「ごめん」
「いい、大丈夫だ」

シューは話を切り替える

「それより、お前のいた国のこと、教えてくれ」
「あぁ、はい」



私は、家族が事故で他界したこと、親戚が私の面倒を見ることを嫌がって放っとかれていたこと、

学校を卒業し、つきたい仕事先たさがないことなど、色々な話をした

そこから、気づいたらここにいたことも


シューは、私が話し終わるまで、ちゃんと聞いてくれていた

「まあでも、あの世界からここに来たって、気にする人なんていないだろうけどね」
「そうか?」
「うん」
「でも……………」

シューは、ひとつ息をついて

「お前がこの世界から元の世界に戻ったら、俺は気にかけてやるけどな」


「……………っ!」


この時、私の見える世界が変わった気がする



これが、恋?



周りがだんだん色づいていくんだ

こんなの、初めてだ





本当、なんて

綺麗なんだろうか




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