君のために、死んであげる


私は風呂上がり、あの声の人と会った

「お前が、」

「………朱咲実です。…瀧峰 朱咲実です」

あの男……シューのお父さん

「たき、みね……」
「何か、御用ですか」
「………私は、…パーサ・ナヤマ・リードリフ・キング。シュードリマンの父にあたる」

低い声で、パー……なんとかと、長い長い名前を言う

「金が目的か知らないが」

…………は?

「私の息子に、近づかないでもらえるか?」

何、こいつ

「シュードリマンはやがて結婚するんだ。穴を掘るなど、そんな汚らしいことはさせるでない」

「なんで?」
「…………………?」
「いいじゃん、シューは結婚したくないんだよ?」

私はシューのお父さんをキッと睨む

「シューはシューの人生だッッッ!!」

こんな大声、初めてだった

シューのお父さんは、ため息をつく

「結婚しないのならあいつは死ぬしかない」
「知ってます。ってか、殺されんなら逃げればいいじゃん」
「…………違う、呪いだ」

「………呪い?」

まじで言ってんの?
私は呪いとか信じないから

「……少し、昔の話をしようか」

シューのお父さんは、一息置いてから口を開く

「この国ができる前、私たち王家の先祖だった人が、病に侵されたんだ」





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