君のために、死んであげる

*。・…・。*

「おや」

「え?」



そこには、知らないおじさんが立っていた
いきなり出てきてビックッタァ…


「君は………王家の者ではないね?」

「え、あ、あの………?」






「テキリス…………?」
「呼び捨てかい?」

と、テキリスは笑った
愛くるしい顔だ

目のシワがすごい



「あの、テキリス、さん……」

「何かな?」




「呪いを、止めてください」







「……私は、シューが好きなんです」

「それは…」

「王家の人です。私はシューが好きだから、代わりに死にました」



「そうかい、そうかい………」


テキリスは、また笑う


「でも、お前さんの代で、呪いは終わりじゃろう?」

「私は、生き返りたいんだ」




「はて?」

「やっぱり生きたい。ごめんなさい」



シューに、会いたい



「愛、か………。羨ましいよ」

「知っています。あなたの、過去のこと」

「そうか」

「私が、愛してあげましょうか?」


ラブ、ではないけれど


「あなたのことを、考えていてあげる。………というか、あなたのことを考えているひと
けっこういますよ?」



このじいさんは、寂しがりやだったんだよ



誰も、自分のことを思ってくれないって




「私は、シューが好きなの」

テキリスは、涙をボロボロとこぼした
えつ、なん……なんで……?
泣きたいのはこっちなんだけど




「……あ、あの、ハグする?」

外国といえばハグかな?とか思いつつ、思いっきりハグしてやった


「悪かったの、怖い思いさせて」

「私が怖かったのは、死ぬことじゃなくて、シューと会えなくなることだよ」






「………そのシューとやらを、大切にしてやりなさい」

「じゃあ………!!」

「あぁ。いってらっしゃい」





その瞬間、私は光に包まれた

< 45 / 52 >

この作品をシェア

pagetop