まりかの宝石

いち


 「今日はどうだった?」

 千鳥の家の前で待っていてくれた沙羅ちゃんが、いつも通りの笑顔で言う。

 茉莉花に気を使った優しい声色で、落ち込んだ気持ちを励ます元気な声で。

 「まだ、眠ってる」

 「そう」

 まだ、眠ってる。

 また、眠ってる。

 千鳥が一度眠れば目覚めるのはずっと先。

 何時かもわからない、ずっと先。

 突然眠りにつき、突然起きる。

 何時間も何日も眠ってしまう病気。

 さっきまで笑顔でお話してても、突然くる睡魔に抗えず強制的に眠りの世界に引きずり込まれる。

 夢はとても強くて、大好きな千鳥を捕らえて中々離してくれない。

 だから、少しだけ千鳥とあってから眠るのが怖くなった。

 
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