まりかの宝石


 感謝を、している。

 本当は。

 脆くて壊れそうな心に寄り添えるほど器用ではないから。

 彼女の存在がどれほどこいつの支えになっているか知れない。

 心を通わすことも、寄り添い支えることもできない。

 不器用というよりは弱虫だ。

 それでも素直に言葉に出来ないのはやはり、認めたくないから。

 邪険に扱っていいはずない、それでも彼女への嫌悪を抑える事ができない。

 羨ましいんだ、あんなにも純粋に焦がれて祈ることなど俺にはできないから。

 神様はきっといない。

 すがる神もいない。

 祈ることなど、ばからしい。

 そうやって逃げてきた俺には、彼女が眩しすぎて輝きは目に痛くて

 嫌悪した。


< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop