替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




「そんなことが……」

フェルナンさんもマリウスさんも、私の話にとても驚いていた。



「サキ…それで良いのか?
いくら国を守るためだとはいえ、勝手な理由で呼び戻され、王女の替え玉にされるなんて、あまりにも酷い扱いじゃないか?」

いつもは冷静なフェルナンさんが、きつい口調でそう言った。



「はい…私も悩みましたが、でも…きっと、これが私の運命だと思うんです。」

「サキの気持ち…なんとなくわかるような気がするよ。」

そう言ったのは、マリウスさんだ。



「俺も…ガザン王の剣がみつかるまでは、それほど真剣には考えてなかったんだ。
でも、剣を手に入れてからは、自分でも驚くくらい気持ちが変わった。
ガザンの再興を本気で考えるようになった。
なんというのか…これが血みたいなものなのかもしれないな。」



あぁ、確かにわかる…
私も今までは王族とは全くかけ離れた生活をしてたけど、シャルアさんと話しているうちに、なんだかこの国を滅びさせてはいけないっていう気持ちがどんどん大きくなって…
責任感みたいなものも強く感じるようになって…
だから、引き受けたんだ。
シャルアさんの替え玉を…



「だけど…サキはただ双子だったってことだけで、異界へ送られたんだぞ!
王族に捨てられたんだ!
そんな国を助けてやらなければならない道理はない!」



フェルナンさんの言うことももっともだ。
私も、知り合いがこんな目にあったら、同じことを言うかもしれない。



それに…フェルナンさんがこんなにも私のことを考えてくれてたことがとても嬉しい。
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