替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
それは、私に問題があったからです。
私の体は、すでに毒に冒されており、もはや歩くことはおろか、起き上がることさえままならない状態です。
命だって、そう長くはもたないと思います。
こんな私が遠いヴァリアンでの婚姻の儀に出られるはずもありません。



アーリアの決定に背くということは、国の滅亡を招くということ。
陛下は半ば覚悟されているようです。
しかし、私は諦められませんでした。
私のせいで、国を滅びさせるなんて、そんなこと出来ません。


どうしたものかと、私は思いを巡らせませた。
しかし、なかなか良い案は浮かびません。
考えあぐね、私は魔女・サンドラに意見を乞いました。
サンドラは、私の祖父にあたる前国王が非常に信頼していた魔女ですが、現国王は大の魔法嫌いなため、彼女に相談することはきっとお許しにならないと思ったので、秘密裏にサンドラを呼び出したのです。



「……妹君をお呼びされてはいかがでしょう?」

彼女の言葉の意味がわかりませんでした。
私には、妹などいないのですから。



「サンドラ…妹とは誰のことですか?」

「シャルア様の妹君にございます。」

「ですが、私には……」

「シャルア様…この世界と繋がったもう一つの世界があるというお話はご存知ですか?」

サンドラが何を言おうとしているのか、ますますわからなくなりました。



「はい、それは聞いたことがあります。
この世界に伝わる伝説ですよね。」

「伝説ではありません。それは真実です。」

「そう…なのですか?
それで、そのお話がどうかしたのですか?」

私は、サンドラに訊ねました。


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