大天使に聖なる口づけを
(ど、どうしてディオがそんなこと知ってるの!)
声にならない叫びにパクパクと口を動かすばかりのエミリアに、アウレディオは珍しく笑顔を向ける。
大きな蒼い瞳に悪戯っぽい色を浮かべた、小悪魔のように魅惑的な微笑。

「エミリアのやりそうなことなんて、だいたい想像がつく。明日はまずそいつに会いに行くからな、心の準備しとけよ」
返事をする暇も与えず、固まってしまったエミリアにさっさと背中を向けて、アウレディオは部屋から出て行った。

階段をトントントンと軽快に下りて行く足音を聞きながら、エミリアは、(これってディオにはめられたんだわ!)と頭を抱えて座りこんだ。

「そんなものないわよ、って言い返せば、それでよかったのに……!」
咄嗟の時に、いい反応が返せない自分が、自分でも嫌になる。
しかしいくら悔しがってももう遅い。
明日には、これまで遠くから見ているだけだった憧れのランドルフに、自分から会いに行かなければならないのだ。
――何と話しかけたらいいのかもわからないまま。

「どうしよう! どうしたらいいのよ?」
エミリアはヘナヘナと、自分の部屋の床につっ伏した。
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