みんとキャンディ
「……これはなんだ？」


「…………」



目が覚めたところで現実がリセットされてるわけもなく、



朝から高原家に出向いて朝ご飯を作る聖梨の目の前には、



仁王立ちした皇楽と、



その正面で目を潤ませた朗楽が立ち尽くしていた。



皇楽の手には、朗楽の物と思われる子ども用の布団が握られている。



「黙ってもダメだ。ちゃんと言えっ」



「おねしょしてごめんなさいっ」



両手で目を擦りながら謝る朗楽に、おねしょ付きの布団を持った皇楽がしゃがんで目線を合わせた。


「もうすぐ四歳だろっ。夜行きたくなったらちゃんと言え」


「……はぁい」


朗楽を納得させた所で、皇楽は濡れたパジャマを着た朗楽を洗面所へ連れて行ってしまった。



それをただ呆然と見つめていた聖梨に、


「……皇兄ってば、主婦でしょ？」



聖梨が作った朝食を食べていた藍楽が言った。



藍楽の言葉に納得するものの……素直に頷けない。



「見た目は王子様なのに……」



ため息混じりに小さく呟いた聖梨に、



「皇兄に惚れた以上、こればっかりは切っても切り離せないよ」



鋭く言い放つ藍楽。
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