みんとキャンディ
どんなに憧れを抱いても、



家政婦や荷物持ちとしてしか見てもらえない聖梨にも、



唯一ちょっとした至福を感じる時間があった。




「わたしの責任だから!」


本人の強い希望により、皇楽の包帯の交換は聖梨の役目になっていた。



向かいに座って黙って差し出された皇楽の腕に、



くるくると包帯を巻いていく自分は……、



束の間の彼女気分が味わえるからっ。



しかし、



そんな聖梨の淡い乙女心なんて……、



「ニヤニヤしてんなっ。気持ち悪いっ」



「…………」



「わたしってば彼女みたい……なんて思ってんじゃないだろなぁ?」




容赦ない一言に思いっきり打ち砕かれるのだった……。
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