みんとキャンディ
「持つよ」



雄楽が差し出した手に、聖梨は不思議そうに首を傾げた。



「貸して。俺が持つから」


「えっ? いいよ。雄楽くん、荷物一杯だし」



聖梨の手からサラダ油を取ろうとする雄楽の手を、聖梨は慌てて押し返した。




確かに、



デカデカとしたスポーツバッグにを肩から掛け、



手にはスパイクを持った自分に荷物は預けにくいかもしれない……。



それでも、



「そんな重い物持って、暗い道フラフラしてたら危ないだろっ」




言い出した雄楽も後には引けず、



こう言って聖梨に空いた手を差し出している。




「大丈夫大丈夫~。暗いからわたし女の子に見えないもん」



こう言って軽く笑う聖梨を、雄楽は顔をしかめて睨んでいた。




こんな風に、自分で自分を傷つける言葉を口にする聖梨が苛立たしかった。





ホントは女の子らしさに憧れる聖梨を、



雄楽は目の当たりにしていたのだ……。



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