生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「何て大家さんに言うつもりなの?何かそういうの嫌なの。」

私はあからさまにムッとする。

「まだ将人と付き合い始めたばかりで、そんな風にけじめがないのは性に合わないの。」

「やっぱり朝弥は真面目過ぎる。そんな堅苦しい理屈ばかりだな。そんな所は宏弥と似ているな。」

言っている事は頭では分かるけど、でも私は将人の言葉にイラッと来る。

「ここは私が借りている家よ。自分の勝手になるとは思わないで。今日こそは帰ってよ。」

私の大きな声に、少しびっくりしたように将人は私を見た。

「…お望み通り帰るよ。」

将人は荷物をまとめ出す。

私は目をつぶったまま、その様子を感じる。

バタン…。

またも玄関が閉まる音が聞こえた。

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