生真面目先生のちょっと大人の恋の話
吉永先生はどこかを見つめながらつぶやく。

「こんなにみっともない所をさらしたのは朝弥が初めてかもしれない。」

吉永先生が照れながら苦笑いをする。

さっき宏弥にあんなに冷静な大人の対応をした同一人物とは思えない。

「だいたいここへ来た理由も情けないよな。」

吉永先生は天を仰ぐ。

「そうですね、初めてであった時は、足を処置してくれて。」

私は吉永先生に笑いかける。

「私は疑っていたけれど、他の女の人ならその場で恋に落ちる程の出会いだったかも。」

そう、あの日は桜が満開だった。

「でも…、私は情けない姿を見せてくれた吉永先生の方がずっといいと思いますけど。」

「好きとは言ってくれないんだな。」

自分でそう言って、吉永先生は声を出して笑う。

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