憧れのアナタと大嫌いなアイツ

もしかして・・・
という期待を裏切らず

最上階でエレベーターは止まった


どうぞと開かれた扉の中は
息を飲むような景色が広がっていた

エレベーターホールの向かいに門扉が一つ

洗練されたデザインの和モダンは
中への期待が膨らむ

玄関ドアを開くと一斉に点く照明と
真っ直ぐ伸びた廊下

「ほら」とスリッパを出されて
柊の後ろを進みながら

次々と現れる扉の説明を受けた

最後の扉を開けると
大きなソファが鎮座するリビングだった

シックな中に暖かみを感じるのは
和のテイストが練りこまれているからだろう

柊の雰囲気にピッタリマッチした
ペントハウス

「適当に座って、コーヒー入れるから」

オープンスタイルのカウンターキッチンの中へ入って行った柊を目で追いながら

ソファの端に腰を下ろした

大きな窓の外に視線を移すと
広いバルコニーが見える

ソファのセットまであるなんて
どんだけ広いバルコニー・・・

ーー私って場違い?ーー

なんだか落ち着かなくて
ソファにもたれず背筋を伸ばしたままの背中に

「緊張してんのか」

温かな柊の手が触れた

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