憧れのアナタと大嫌いなアイツ

心地良い振動に目を開けると

「え?」

「あ、おじさん!花乃、目を覚ましました」

「お〜良かった」

気づいたらパパの車に乗っていて
助手席のシートが倒されて寝ていた

運転席の後ろに座っている麻美が
心配そうに眉を下げている

「えっと・・・」

どうしたんだっけ?と続けようとした口を麻美の手が止めた

「花乃、電車で倒れちゃったの、ほら、顔も青白かったし」

「麻美ちゃんから電話貰って急いで迎えに出たって訳」

運転しながらチラチラとこちらを見るパパ

「ママも心配してる、二日連続で倒れたからとりあえず病院な」

「は〜い」
と返事したのは麻美

登校中に倒れた私とついでのように休んだ麻美を心配したけれど
大学までエスカレーター式の高等部の学生はこの時期長期休暇で旅行へ出かけたりするくらいだから大丈夫と笑われた

結局麻美まで付き添った病院での検査は少しの貧血はあるものの概ね健康って結果だった

「やっぱアレだよね」

「う・・・ん」

認めたくないけれど
昨日の一件から何かしらの影響を受けていることは間違いなさそうで

「危険回避ってことで明日から女性専用車両にしよっ」

努めて明るくしてくれる麻美に

「そうする」

躊躇うことなく頷いた
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