冬至りなば君遠からじ
幽霊先輩
 ベタな話が一番怖い。

 怪談は振り向けば必ず何かいるって分かってるのに振り向くし、ドラマだって、難病の主人公が青汁のおかげで元気になるハッピーエンドなんてない。

 分かっているのに必ず最後は泣くはめになる。

「もう恋なんてしない」ってつぶやいて空を見上げるんだ。

 ラストシーンの手前あたりで手紙なんか読み始めると、絶対に泣かないぞなんて構えちゃう。

 でも、読み終わって大丈夫だなんて油断したらダメだ。

 こらえた分だけ、余計にどうでもいいところでボロボロ涙が止まらなくなる。

「このおまんじゅうおいしいね」とか、そんなありきたりなセリフが一番危ない。

 でもさすがに、角で人にぶつかるなんて、そんなベタすぎる出会い、あるわけないと思ってた。

 ただ、それは僕ではなかった。
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