殿堂入りの君は、俺のもの
どんな君でも好きだから
「ダメダメ! 絶対ダメ!」

 俺は必死になってそう言った。美沙(めでたく下の名前で呼べるようになりました)は、俺のあまりの必死ぶりに、大きな瞳を眼鏡の奥でさらに見開く。

「なんでよ?」

「なんでって……ほ、ほら危ないみたいじゃん! ちゃんと手入れしないとさ!」

「ちゃんとすればいいんでしょ?」

「で、でも! コンタクトなんて!」

 学校までの、朝の道。俺は美沙と一緒に登校していた。

 少しよくわからない始まり方だったが、美沙との交際を無事にスタートさせた俺は、以前よりも美沙と過ごす時間が長くなった。

 学校に一緒に行ったり、帰ったり、休みの日は二人でどこかに行ったり。相変わらず美沙は難しい本を読んだり、俺が理解できないような映画を見たりしていたが、俺はそんな彼女がやっぱり好きだった。それに、一回美沙に薦められて、難しそうだと思った映画を見てみると、意外とそうでもなくて、面白かった。
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