春を待つ君に、優しい嘘を贈る。
プロローグ


僕は知らなかった。

いや、知らないままでいようと、気づかないふりをしていたのかもしれない。

春のように温かいぬくもりに包まれたあの日から、ある気持ちが僕の中に生まれていたことに。

それは君という存在そのものに対して抱いていた。

必要性や価値を超えた、特別なこだわりだ。

人はそれを、何と呼ぶのだろうか。


僕はその答えを知りたいと思わない。

永遠に解かないと、ここに誓う。




【I hope you will be happy forever】




『馬酔木が僕をなき者にする』
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