異世界トランスファ
次の日、私が眠っている間にいつも通りギンは仕事に行ったらしい。


「お前、早起き出来ねえの?」


と年下のナギに怒られる。


「だって、昨日も眠れなかったし・・誰かのせいで」


色々気になりすぎる。

ギンの怒っている顔も、帰ってこないセンリの顔も浮かんでくるし。


「センリって帰ってこなかったの?」


「見てない。」


「そっか」



落ち込んだ様子の私を見て、ナギはさらに怒る。


「そんな顔してても無意味。てか、なんなの?何考えてんの?」


「え・・」


何もそんなに声を荒らげなくても。


「お前のやりたい事、やればいいじゃん」


「え。」


「センリに会いたいなら行けばいいし」


「でも・・どこにいるかわからないし」


「学校だろ。授業してる」


「あ・・」


いやいや、一日帰ってこなかったからといって見に行くのはおかしくないか?

そもそも私はセンリの何?別に恋人じゃない。



「うじうじしてるヤツは嫌いだ」


「ナギ・・」


腕組みしながら怒ってる。

そういえばナギはギンが拾ったって言ってたな。

なんか雰囲気似てるかも。


「ナギって男っぽいね」


「あ?」


「ごめん。男らしいっていうか・・そんな事言えるなんて、カッコいいんだなーって」


「ば、馬鹿だなお前。今頃気づいたのか」


ちょっと嬉しそうなナギだ。


クスクスと私は笑いを堪えた。


怒ってても可愛いんだなナギは。


「ありがとう。元気にさせてくれて」


「別に。そんなつもりねえ」


素直じゃないんだから。


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