異世界トランスファ
「前に、なんで3人で暮らしてるのか聞いたよな」


「あ、あったねそんな話」


「それ聞いたら、少しは俺の事好きになるか?」


なに可愛い事言ってるんだか。

別に嫌いじゃないよ。ナギの事。



「うん、なる」


「・・わかった」


私が頷くと、ナギは自分の生い立ちを教えてくれた。


「これ見て」


ナギは自分の右肩に押された焼き印を見せた。


「ナニコレ?」


「王族の印」


「へー・・て、えぇ!?」


ナギが王族・・王族って王様の子供って事!?


「ど・・何処の王族なの」


「東の王」


マジですか。

凄い事聞いてるんだけど。

本当にナギ様だったわけだ。



「なんでここに・・」


「5年前。勘当された」


「5年前って・・」


「王が変わった時に」


「え?」


「今の東の王は、俺の兄。俺は10番目に出来た王子だったんだけど。嫌われてて、捨てられた」


「そ、そんなの酷すぎる」


「まあ・・兄とは父親が同じだけで母親は違うし」


「でも・・」


「よくある話だよ」


そんな生い立ちが。


「母親も、早くに死んだ。病気って聞かされてるけど、実際はわからない」


「わからないって・・殺されたかもって事!?」


「・・・」


壮大すぎてついて行けない。

親をどちらも失って、10才で追い出されて・・

そりゃ、歪むわ。

必死に牙をむいていたんだな。色んなものに。

私は無意識にナギを抱きしめた。



「ありがとう。話してくれて。ナギ、大変だったんだね。でも、もう気を張らなくてもいいよ」


「ヒオリ・・」


「私じゃお母さんになれないかもしれないけど。なんでも相談して」


「・・・」



ぎゅうっ。

と抱きしめてあげた。




「ヒオリ、胸ないなマジで」


おいそこかよ(怒)





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