異世界トランスファ
その日の夜中だった。皆が寝静まった頃。

気分はたいぶ良くなって、外の空気が吸いたくて私はバルコニーで風に当たっていた。


「はぁ・・」


ずっと横になっている間、ギンの顔を思い浮かべていた。

時折強風が私の体を吹き抜ける。

今日は三日月。雲が多くておぼろげだ。


「ギン・・・」


すると突然バサバサバサ!!!と大きな羽音が聞こえた。


「ひゃ!!何!?」


驚いて力いっぱい目を閉じてしまった。


「・・・ぁ・・」


ゆっくり目を開けると、目の前にギンの姿があった。

私は感極まってすぐに泣きそうになった。

来てくれた。

私の為に?こんな夜中に?

何処から駆け付けてくれたの?


「ギ・・」


ドキン


ギンの目を見ようとしたけど躊躇した。

だって、ギンは目を・・・





逸らしていたから。

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