日常なままの境
彼女の新しい日常
彼が忘れて行った煙草に火をつけて吸ってみた。

「うまくはないな」

煙草を吸う姿が好きだった。
追いかけなかったけど、確かに好きだった。
他に女がいるなんて思いもしなかったし、
だけど、どこかでやっぱりなって思う自分もいて。
さっきまで泣いてたけど、なんだか肩の荷が下りた気もしていた。
自分にはもったいない人だったと思うほどには。

「いい年して、不良ごっこですか?」

隣りから、いい声がした。

「だったら、まだ、可愛げある気がするけどね」

好みの声だったからドキッとしたけど、
よく考えたら初対面で嫌味な言葉だなとちょっとイラっとした。

「ま、何でも良いけど、こっちきて一緒に飲まない?」

「(イケメンだからって、何でも許されると思うなよ。)」

そう思ったのに、

「奢りですか?」

「もちろんw」
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