となりのキミと
エピソード1
5月。
新緑の季節。

高二になった私は、美晴や仁たちと、それなりに楽しい毎日を送っていた。
こんな面白味のない私といつも一緒にいてくれる、美晴は本当に大切な友達だ。

「ねぇ、1組の真宮くん。かっこいいよねぇ」
いつも通りの休み時間、どこかでそんな声がした。

イケメンなんて、私とは一生関わりのないジャンル。

まして真宮というそのオトコは、私の隣人。
かなり関わりたくないヤツ。
真宮晴大。

私にとって、黄色い女子たちの言葉は雑音。
その雑音が聞こえる度にその場から逃げる。
そうすることでマミヤセイダイと鉢合わせずにすむ。
そういう意味では有難い雑音だった。

「真宮くんさ、最近また背が伸びたよね」
聞き慣れた美晴が、黄色い声たちに反応したのか、思いがけずそう言った。

「そお?」
興味ない。
というか避けているヤツの見た目なんて、わかるわけない。
私はそれらしい相槌をうった。

「那奈、隣に住んでるのに、鉢合わせたりしないの?」
美晴が言う。
「ないない!ってか会わないよーにしてるし」
「えーっ、なんで?目の保養なのに。」
そういう美晴は見た目が良いオトコに弱いタイプなのだ。
「は?何言ってんの。アイツ、ものすごい無愛想なへそ曲がり野郎だよ。挨拶すらできないし」
勢いに任せてそういう私。
「那奈ってあーゆータイプダメなのかぁ」
「むりむり!絶対ありえない」
「ふーん」
意味深な笑顔を見せながら、納得していないような反応の美晴。

そんな会話をしているうちに、今日もまた1日が過ぎていった。
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop