プロポーズ(第7話)
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それは突然のプロポーズだった。

「友高(ともたか)さん、ぼ、ぼくと……結婚してください」

もしこれがロマンチックな場所で、好きな人の口から出た言葉だったら、きっと目がハートになっていたことだろう。

でも、今、わたしの目は点になっているに違いない。

まず、シチュエーションがありえない。

今わたしたちが座っているのは、値段が格安のイタリアンレストランで、しかも平日のランチタイム。

20個ほどある4人掛けのテーブル席はどれもふさがっていて、店内は客の話し声でざわついている。

今の言葉を聞きつけた隣のテーブル席のOL3人が、ちらとこちらに目をやり、失笑するのがわかった。

プロポーズの言葉を発するのにふさわしい場所として、10点満点で評価するなら、2点をつけるのもためらってしまう。

なによ、こんなところで?

いやいや、シチュエーションよりもはるかに、そして根本的に問題なのは、言葉を発したのが、わたしのカレシでもなんでもない男だということだ。

目の前の男とは、これまでデートしたこともない。ちょっとしたきっかけで昼食をともにすることになったのだって、今日が3回目にすぎない。

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