かおるこ連絡ノート
公園まで迎えに来てくれる母は、いつも酒と香水の匂いがした。


売女の息子。


そう罵られて生きてきた。

まともに生きることなど、最初からあきらめていた。

近所の大人たちも、クラスメートも、学校の教師たちも、邦宏がまともに育つはずがない、と白い目で見ていた。

クラスメートが面白半分に起こした盗難事件も、当然のように邦宏のせいにされた。


「人様のものまで盗むような子になって」


呼び出された母親は、そう言って泣いていた。



中学を卒業して、家を出た。

日雇いのバイトを転々として、その日暮しに生きてきた。

何の変化もない、17年間。

まともな就職口を世話してくれるような人間は、いなかった。
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