死神メルの大事件
序章:事件みたいです

 脳梗塞で倒れてからどれほどの時間が流れただろう……
 生島穣は今にも切れそうな豆電球を虚ろな瞳で見ながら、一年前の自分を思い出していた
 課長に昇進するまで後三日仕事を続ければ良かっただけだった。部下からは仕事の鬼と忌み嫌われ続けていたが、それも仕事を愛していたからこそ
 どれだけ部下に眉を潜められようと仕事は結局のところ結果が全てであり、だからこそ昇進し続けていた

 しかしその結果がこれであり、入院していた頃など誰一人見舞いに来る者などいなかった
「お義父さん、入りますよ」
 物思いにふけていると、いつもこのタイミングで嫁が襖を開け放つ
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