地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密

「まぁ、信じてもらえないでしょうね。でも本当のことなので。では」

では、と言ったその人は私に向かって優しく手を差し伸べていた。

もうこの人の行動が理解不能だった私は、俯いて彼の横を走り抜けようとしてみた。

…でも、やはりそれは叶わない。
彼はスっと体を横に滑らせ、私を通さなかった。

更にずっと微笑んでいる。

…無理。怖い。嫌だ。何この変人。
私は睨むこともできなくなった。
足がどんどんすくんできた。

「わっ、ちょっ…怖がらないでください。大丈夫ですから」

「大丈夫って…どこからどう見ても大丈夫じゃないから…」

すると、彼はふぅと軽くため息をつき、私に跪(ヒザマズ)いた。

「すみません。高畑梨衣子さん。あなたにお願いがあります」

俯いている私と目が合う。

< 10 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop