夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

(4)


私は一旦自分の部屋に戻ると、バロンへのプレゼントが入った紙袋を持って部屋を飛び出した。

渡せないと思いながら、編むのを止める事は出来なかった。
ひと針ひと針、口に出せない想いを紡いでた。

諦め切れないバロンへの想いをーー。


『今を手放したら、この先私達に自由なんて永遠に来ない』

その通りだ。
永遠なんて夢は、奇跡が起こらない限りない。


……でも。
でも、ね……。

奇跡は、もう起きてるから。


この世界の、限られた時間の中で、私とバロンは出逢う事が出来た。

だから私は、その奇跡に感謝しなきゃ。


生んでくれて、ありがとう。

生まれてきてくれて、ありがとう。って……。

……
…………。
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