夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
第9章 最後の想い出

(1)


年が明けてからは、私の花嫁修業も追い込みに入っていた。
ローザの指導もますますスパルタになって、私は毎日クタクタ。


でも、バロンがずっと傍にいてくれた。

いつも目の届く所で私を見守ってくれていて、一日が終わると、優しい笑顔で褒めてくれた。

そして隙を見て、一日一回は必ず「アカリ」って名前を呼んでくれる。
だから、私は頑張れた。


お嬢様と召使いじゃなくて、私とバロンの対等な一瞬。
それは決して恋人とは呼べない、幼い時間。

私達の距離が、縮まる事はないけど……。
これ以上離れる事もないように、毎日毎日一緒に居られる時間を噛み締めていた。

……
…………。
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