夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

〈仕事内容〉
花嫁修業。教育、監視、警護。
元ただの一般庶民だった少女を、来年の3月までに名家の令嬢として恥ずかしくないよう花嫁修業をしてほしい。

報酬:10億。

……。


「ーーどうですか?ヴァロン」

「……。
シュウ、お前ふざけてんのか?」

俺は不機嫌になって、依頼の資料を握り潰した。
シュウらしくない仕事の選択。

報酬の10億。
確かに魅力的な金額だ。

でも。
白金バッジを持つ夢の配達人の俺の依頼料は、平均3,000万。
一度に10億の報酬に約一年間縛られるよりも、短い期間にたくさんの仕事を熟す方が効率よく儲かる。

シュウは俺が7歳で此処に来て以来、ずっと兄弟みたいに育ってきた数少ない親友であり仕事仲間。
しかも性格上、俺が長期任務に向かない事は言わなくても分かっている筈だった。
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