俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
百八十センチはあろうかという高身長に、すらりとしたモデルのような体型。

ダークブラウンの髪は無造作に毛先が散らされ、男らしさと美しさが融合したような整った顔は、誰が見てもイケメンだと認めるだろう。

彼、不破 雪成(ふわ ゆきなり)さんは、同じ会社で働く二十六歳の調理師だ。

私はほんの数回話したことがある程度で、愛想がいいタイプではないが、気さくに話してくれる人だと認識している。

そして、いろいろな意味で印象的な人であるため、名前はしっかり覚えている。

不破さんはいつもはレストランに勤務していて、ここ本社に来ることは滅多にないのに、一体どうしたのだろうか。

私服のジャケットのポケットに片手を入れ、ゆっくりと私の隣に歩み寄ってくる彼に問いかける。


「不破さん、どうしてここに?」

「社長に用があったんだけど、ちょうど来客と重なって」

「時間潰しですか」

「あぁ。屋上来たことなかったし、最後に景色を拝んでおこうかと。でも……六階からじゃたいして眺め良くねぇな」


ん? 最後ってどういうことだろう。

意味深な発言をする彼は、街並みを百八十度見回したあと、つまらなさそうに柵に片腕をかけてもたれかかった。

その気怠げな仕草もカッコよく見えるのだから、容姿がいい人は羨ましい。

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