にせもの王子さま
何ていいお兄さん・・・!
私は感動して、思わず身を乗り出し、誠さんの手を両手で掴む。

「任せてください・・・!」

私自身はひとりっ子で兄弟がいないから、こういう兄弟愛って本当に羨ましい。
涙が出そう! なんて思ってたら、誠さんがまた表情を変え、今度は、いたずらっ子みたいな顔。

・・・うん?

「大変だと思うけどね、がんばってね!」

その時、ちょうど奥から白いカップを3つトレイにのせた悠さんが戻ってきた。
そして、誠さんの手を握っている私を見てポカンと口をあける。

「せっ、関口さん! 兄は既婚者で・・・」

言いながら、だんだん赤い顔になっていく悠さん。
私は訳がわからず、誠さんの手を握ったまま固まってしまう。

助けを求めるように誠さんに視線を向けると、誠さんは視線を下ろし、手を見る。

えっ、まさかこの手!?
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